【2026-02-28の市況概要】 (Market Pulse)
金曜日の中国・香港市場は、来週に控える「両会(全国人民代表大会・政治協商会議)」への政策期待を背景に堅調に推移した。上海総合指数は4162.88pt(前日比+0.39%)と節目の4100台を固め、ハンセン指数(HSI)も26630.54pt(+0.95%)と反発し、心理的節目の26,500ポイントを回復して取引を終えた。
しかし、引け後の週末に発生した米・イスラエルによる対イラン攻撃と、それに伴う地政学リスクの急騰により、市場環境は一変している。WTI原油先物は67.02ドル(+2.78%)へ急伸、VIX指数は19.86(+6.6%)と20に迫る水準まで上昇しており、週明けの市場はリスク回避の売りが先行する展開が予想される。一方で、日曜日に発表される中国製造業PMIと火曜日からの両会への期待が、どの程度下値を支えるかが焦点となる。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
1. イラン情勢悪化と「Bad News」の消化
週末の主要ヘッドラインである「米以によるイラン攻撃(ドローン使用)」とトランプ氏の関与示唆は、明確なリスクオフ要因である。中東情勢の不透明感から、金曜日の米国市場ではナスダックが約1%下落しており、この流れが週明けのアジア市場にも波及する。
* メカニズム: 地政学リスク上昇 → 原油価格急騰(+2.78%) → インフレ懸念とセンチメント悪化 → リスク資産(株式)からの資金流出。
* ただし、エネルギー関連株(CNOOC, PetroChina等)にとっては追い風となり、指数全体の下落を一定程度相殺する可能性がある。詳細はイラン急変とPPI:VIX20接近でS&P500調整局面へを参照されたい。
2. 「両会」直前の政策期待とPMI
中国国内要因としては、3月4-5日に開幕する両会に向けた政策期待が根強い。特に、日曜発表の製造業PMIが好不況の分かれ目である50近辺を維持できれば、過度な悲観論を後退させる材料となる。
* 関連データ: 金曜日の人民元(USD/CNY)は6.86と比較的安定しており、資本流出への過度な警戒は見られない。
昨日のシナリオ検証
金曜日の市場は、メインシナリオ(Condition: 両会を控えた政策期待が優勢)がヒットした。
* 要因: 週末の地政学リスク顕在化前であったため、市場は純粋に国内の政策イベント(両会)を好感する動きとなった。特に香港輸出33%増で米株と乖離といった実体経済のポジティブなデータも、ハイテク株や輸出関連株の買い戻しを支援した。HSIが26,500台を回復した点は、ショートカバーの強さを示唆している。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化 (1d) | コメント |
|---|---|---|---|
| ハンセン指数 (HSI) | 26,630.54 | +0.95% | 週末のリスクオフで窓を開けて下落スタート予想。26,200付近のサポート強度が試される。 |
| WTI原油 (CL=F) | 67.02 | +2.78% | 中東情勢緊迫化で急伸。エネルギー株のヘッジ需要を高める要因。70ドル台回復も視野。 |
| 上海総合 (000001.SS) | 4,162.88 | +0.39% | 国家隊(政府系ファンド)の買い支え観測もあり、外部ショックに対して比較的底堅いと予想。 |
| USD/CNY | 6.86 | +0.24% | リスクオフのドル高進行を人民元がどこまで耐えられるか。6.90突破なら警戒が必要。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
短期シナリオ (今後48時間)
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メイン (Main – 確率50%):
- 条件: 中東情勢悪化でリスク回避先行も、日曜発表の製造業PMIが節目50付近を維持し、両会への期待が継続する場合。
- 展開: HSIは寄り付きで下落するも、26,200ポイント付近で下げ渋る。エネルギー株(CNOOC等)の上昇がハイテク株の下げを一部相殺し、引けにかけては底堅い展開。
- 着目イベント: 日曜日の中国製造業PMI、月曜日の原油先物市場のオープニング。
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アップサイド (Bull – 確率20%):
- 条件: イランの報復措置が限定的との見方が広がり、かつPMIが予想(50.2-50.4)を上振れる場合。
- ターゲット: 押し目買いが優勢となり、26,800〜27,000ポイントへの反発を試す。先週の香港予算案と人民元3年ぶり高値で確認されたAI相場のモメンタムが復活。
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ダウンサイド (Bear – 確率30%):
- 条件: 中東情勢が深刻化(ホルムズ海峡封鎖懸念など)し原油がさらに急騰、またはPMIが50を大きく割り込む場合。
- リスク: グローバルなリスクオフが直撃し、HSIは26,000の心理的節目を割り込み、25,800付近まで調整色を強める。
中期シナリオ (1-2週間)
- 見通し: Neutral / Bullish
- 重要イベント: 両会(全人代・3/5開幕)、米雇用統計(3/6)。
- リスク: 地政学リスクの長期化による原油高(インフレ再燃)、米中対立の再燃(トランプ発言の矛先が中国に向くリスク)。
- 分析: 両会での財政出動規模やAI・半導体産業への支援策が具体化すれば、外部環境のノイズを乗り越えて上昇トレンドに復帰する公算が大きい。
【投資戦略】 (Outlook)
「押し目買い (Buy Dips) – ただしエネルギー・ヘッジを併用」
週明けは地政学リスクによるギャップダウンが避けられないが、両会という強力な国内カタリストを控えているため、パニック売りは推奨しない。HSI 26,000〜26,200ゾーンは、中期的な視点での押し目買い好機となる可能性が高い。
- ロング戦略: 政策恩恵が期待される「AI・ハイテク関連」や「高配当国有企業」の下値を拾う。ただし、ボラティリティ拡大に備えポジションサイズは控えめに。
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ヘッジ戦略: ポートフォリオのダウンサイドリスクを抑制するため、原油高の恩恵を直接受けるエネルギー株(CNOOC 0883.HK等)をオーバーウェイトとし、ハイテク株の下落を相殺するポジション構築を推奨する。
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Risk Level: HSIが終値で 25,800 を下回った場合は、一旦撤退(Stop Loss)を検討。


