【2026-02-25の市況概要】 (Market Pulse)
25日の米国市場は、注目のNvidia決算が市場予想を上回るポジティブサプライズとなり、同時に発表されたCPI(消費者物価指数)の上振れによる金利上昇圧力を完全に吸収する展開となった。S&P500は前日比+0.81%の6946.13で取引を終え、心理的節目の7000ポイントを視界に捉えた。ハイテク比率の高いNasdaq総合指数は+1.26%とさらに強く、23152.08ポイントと史上最高値圏での引けとなっている。
特筆すべきはVIX指数の急低下である。前日比-8.29%の17.93まで低下し、イベント通過に伴うボラティリティ・クラッシュが発生した。一方で、債券市場ではインフレ懸念が再燃し、米10年債利回りは4.05%(+0.37%)へ上昇。通常であれば株価の重石となる金利上昇を無視し、「AI主導の業績相場」がマクロ経済の懸念を凌駕する強烈なリスクオン相場が形成されている。為替市場ではドル円が156.28円まで上昇し、円安・ドル高が進行した。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の市場を支配したのは、マクロ経済指標(CPI)とミクロの企業業績(Nvidia)の綱引きにおける、後者の圧倒的な勝利である。
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Nvidia決算とAIブームの再確認
市場の関心が集中していたNvidiaの決算は、AIブームが依然として加速していることを裏付ける内容となった。特にデータセンター部門の収益が前年比75%増という驚異的な伸びを示し、ガイダンスも上方修正されたことで、AIバブル崩壊論を一蹴した。これにより、半導体セクターだけでなく、AIエコシステム全体(Microsoft, Google等)への資金流入が再加速した。また、Thrive CapitalによるOpenAIへの大型出資(評価額2850億ドル)の報道も、セクター全体のセンチメントを押し上げた。 -
CPI上振れの消化
同日発表されたCPIは、総合指数が前年比3.8%と予想を上振れたものの、市場はこれを「強い経済の証左」として好意的に解釈した。債券利回りは4.05%へ跳ね上がったが、株式市場においてはNvidia効果によるショートカバーが優勢となり、金利感応度の高いハイテク株さえも上昇した。これは、投資家の焦点が「金利水準」から「成長ストーリー」へ完全にシフトしていることを示唆している。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(条件:CPI警戒感から様子見)は否定され、Bullシナリオ(条件:AIラリーが波及しショートカバー加速)が実現した。
要因は、Nvidiaの決算数字が市場の期待値を大幅に超え、CPIによる金利上昇懸念を打ち消すほどの強力な買い材料(Catalyst)として機能したためである。特に、事前にNVIDIA決算前にS&P6900回復で指摘していた通り、決算通過後のアク抜け感が爆発的な買い戻しを誘発した。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 (Asset) | 価格 (Price) | 変化 (Change) | コメント (Comment) |
|---|---|---|---|
| Nasdaq | 23,152.08 | +1.26% | 明確なレジスタンス突破。ショートカバーを巻き込み青天井モード。RSIは54.1と過熱感は意外にも限定的。 |
| US 10Y Yield | 4.05% | +0.37% | CPIを受け重要ラインの4.0%を突破。株高とは逆行しており、遅効性のリスク要因として要警戒。 |
| USD/JPY | 156.28 | +1.06% | 日米金利差拡大とリスクオンの円売りが重なり急伸。157円が次のターゲット。 |
| Bitcoin | $68,753 | +7.29% | リスクテイク意欲の代理指標として急騰。AI・テック株との相関が強まっている。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
Nvidia効果の余韻は続くが、週末にかけてPCEデフレーターやGDP改定値の発表を控えており、一本調子の上昇よりは高値圏での選別色が強まる展開を予想する。
短期シナリオ (24-48h)
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メイン (Main – 50%):
- 概要: Nvidiaの余韻で底堅いものの、週末のPCE/GDP発表を控え、利益確定売りと新規買いが交錯する高値揉み合い。
- ターゲット: S&P500は6950を挟んだ展開。VIXは17-18台で推移。
- 想定アクション: 金利上昇を嫌気したセクターローテーション(ハイテク→バリューの循環)に注意。
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アップサイド (Bull – 30%):
- トリガー: AI関連へのFOMO(取り残される恐怖)買いが加速し、半導体以外のソフトウェア株にも波及する場合。
- ターゲット: S&P500は心理的節目の7000ポイントをトライ。ドル円は157円を目指す。
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ダウンサイド (Bear – 20%):
- トリガー: 債券市場の動揺(金利急騰)が遅れて株式市場に波及する場合。10年債利回りが4.15%へ急伸すると、バリュエーション調整が入る。
- ターゲット: S&P500は6850へ調整。ハイテク株中心に利食い売りが先行。
中期シナリオ (1-2 Weeks)
- 見通し: Bullish (強気)
- 重要イベント: 2/27のGDP・PCE、3/2のISM製造業景気指数、3/6の雇用統計。
- リスク: インフレ再燃(CPIに続きPCEも上振れた場合)によるFRBのタカ派化。また、トランプ関税発言に関する新たなヘッドラインリスク。AIバブル懸念が再燃する可能性は低いが、金利高止まりが長期化すれば上値は重くなる。
【投資戦略】 (Outlook)
スタンス: 押し目買い (Buy Dips) / 金利動向を注視
市場は完全に「AI主導のリスクオン」モードにある。Nvidia決算という最大のイベントを通過し、ショート勢が踏み上げられた今、トレンドに逆らう売りは推奨できない。基本戦略は、ハイテク株や半導体関連の押し目買い継続とする。ただし、10年債利回りが4.05%を超えている事実は無視できないため、全力買いではなく、ポジションサイズを管理しつつ追随すべきである。
- エントリー: S&P500が6900近辺まで調整した場面、またはNasdaqが23000をサポートとして固めた場面。
- リスク管理: S&P500が6850を明確に下回った場合は、CPIショックの遅効性反応と判断し、一度ポジションを縮小(De-risk)する。
- セクター: 半導体(SOX)、AIソフトウェア、および金利上昇の恩恵を受ける金融株への分散。
以前の分析「トランプ関税10%で過度な警戒後退」でも触れた通り、政治的発言によるノイズよりも、企業のファンダメンタルズ(今回はNvidia)が市場を牽引する局面に戻っている。ボラティリティ低下を活用したオプション戦略(プット売り等)も有効な局面といえる。


