【2026-02-24の市況概要】 (Market Pulse)
24日の中国・香港市場は、本土市場とオフショア市場でセンチメントが真っ二つに分かれる「デカップリング」の様相を呈した。上海総合指数は4,117.41ポイント(+0.87%)と続伸し、堅調な上昇トレンドを維持した一方、ハンセン指数(HSI)は26,590.32ポイント(-1.82%)と急反落し、節目の27,000ポイントを大きく割り込んだ。
米国市場ではS&P 500が6,890.07(+0.77%)と最高値圏で推移し、Nasdaqも1.04%上昇するなどリスクオンムードが継続しているが、香港市場はこの流れから完全に疎外された形となった。為替市場ではUSD/CNYが6.88とやや元高方向に振れているものの、ボラティリティ指数(VIX)は19.55へ急低下しており、グローバルなリスク許容度は高い。しかし、中国固有の消費データへの懸念が、海外投資家比率の高い香港市場を直撃している。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の市場を動かした主因は、「春節消費データの濃淡(コト消費の選別)」と「重要イベント前のポジション調整」である。
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春節消費の明暗:
春節期間中の旅行者数は好調(一部データで前年比増加)と伝えられたものの、映画興行収入が6年ぶりの低水準に落ち込んだとの報道が市場心理を冷やした。これは消費者が「移動(帰省・旅行)」には支出するが、「娯楽(映画などの裁量支出)」には財布の紐を固くしていることを示唆しており、内需回復の持続性に疑問符がついた。特に、香港市場の消費関連株やハイテク株(Meituan, Tencent等)への売り圧力が強まった。
参考分析: 春節観光+8%で香港株底堅さ:AI資金調達と地政学リスクの綱引き -
AI技術革新と政策期待(上海の支え):
一方で、「より小さく、速く、スマートな」中国製トランジスタ技術が将来のAIチップ開発に寄与するとの報道が好感された。これは米国の輸出規制に対する中国の技術的自立への期待を高め、上海市場のハイテク・製造業セクターを下支えした。 -
地政学とイベントリスク:
EU通商担当者による「中国が世界貿易ルールを書き換えている」との警告や、トランプ米大統領の講演(25日)、米CPI発表を控え、利益確定売りが出やすい地合いであったことも下げ幅を拡大させた要因である。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(条件:AI報道が下支えするも、CPI前の様子見でレンジ)に対し、結果としてはベアシナリオ(条件:消費データの弱さと関税発言懸念)が実現した。
- 検証: HSIは想定サポートの26,800をあっさりと下抜け、ベアシナリオのターゲットとしていた26,500付近まで調整した。
- 要因: 米国株高という外部環境の好転(Nasdaq +1%超)があったにもかかわらず、春節映画興行の不振という「内需の質」に対する懸念が、投資家の利益確定意欲を予想以上に刺激したためである。市場はグローバルなリスクオンよりも、中国固有のファンダメンタルズの弱さを深刻に受け止めた。
参考分析: 米最高裁が関税無効化:香港株2.7万回復と米国株安の乖離(※前日の株高からの反動減の文脈で参照)
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化 (1D) | コメント |
|---|---|---|---|
| Hang Seng (HSI) | 26,590.32 | -1.82% | テクニカル的な調整色が強い。RSIは40台へ低下し、売られ過ぎ水準に接近しつつある。 |
| Shanghai Comp | 4,117.41 | +0.87% | AIチップ関連報道でハイテク株主導の上昇。4,100の節目を維持し、底堅さを確認。 |
| USD/CNY | 6.88 | -0.37% | 小幅な元高。人民銀行の安定化意志を感じさせる動きであり、株式市場の急落を防ぐ防波堤となっている。 |
| Gold (GC=F) | 5,160.50 | -0.85% | リスクオンによる調整。しかし地政学リスク(ウクライナ、ベネズエラ)は根強く、押し目買い意欲は強い。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
短期シナリオ (今後24~48時間)
トランプ大統領の演説(25日)および米CPI発表を目前に控え、積極的なポジション構築は手控えられやすい。HSIは自律反発の余地があるものの、上値は重い展開を予想する。
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メイン (Main – 50%):
- 想定: 「様子見ムードと下げ止まり」。
- 上海市場のAI関連への期待感と、香港市場の消費懸念が綱引きとなる。HSIは急落後の自律反発で26,600〜26,800のレンジでもみ合う展開。上海株は4,100台を固める。
- トリガー: 米国時間の経済指標(コンシューマー・コンフィデンス等)が無難な通過となること。
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アップサイド (Bull – 25%):
- 想定: 「HSI 27,000回復トライ」。
- 人民元(CNY)が6.85方向へさらに強含み、かつAI関連の個別株に海外勢の押し目買いが入る場合。
- ターゲット: HSI 27,000ポイント。
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ダウンサイド (Bear – 25%):
- 想定: 「26,200への深押し」。
- トランプ氏の演説で対中関税や対EU関税に関する具体的なタカ派発言が出た場合、または米CPIへの警戒感からリスクオフが加速する場合。
- リスク: HSI 26,200ライン。
- 参考分析: トランプ関税15%示唆で香港続落:米株高との乖離拡大と底値模索
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着目イベント: 米CPI(25日)、トランプ大統領演説。これらは市場のトレンドを一変させるパワーを持つ。
中期シナリオ (1-2週間)
- 見通し: Neutral (中立)
- 重要イベント: 全人代(3月)、米雇用統計。
- リスク: 全人代での経済対策規模が市場予想を下回るリスク、および米中通商摩擦の再燃。
テクニカル的には、上海総合指数は上昇トレンド維持だが、HSIは調整局面入りしており、26,000台前半での底固めが必要となる。春節後の経済活動再開(リオープン)のデータが本格化する3月上旬まで、方向感の欠ける展開が続く公算が大きい。
【投資戦略】 (Outlook)
「上海株は押し目買い継続、香港株はイベント通過待ちの様子見」
- 上海市場 (A株): AI・半導体関連の政策期待は剥落していない。テクニカルも良好であるため、4,000ポイント付近を損切りラインとし、押し目買いスタンスを継続。
- 香港市場 (H株): 短期的な調整圧力が強い。RSI等のオシレーター系指標は売られ過ぎを示唆し始めているが、25日の米CPIとトランプ発言という「バイナリー・イベント」を控えているため、飛びつき買いは推奨しない。
- Risk Level:
- レジスタンス: HSI 27,200 / Shanghai 4,180
- サポート: HSI 26,200 / Shanghai 4,050
現在の香港市場の下落は、ファンダメンタルズ(消費)とセンチメント(地政学)の複合要因によるものであるため、まずは26,500付近での底固めを確認することが先決である。Swing Traderとしては、ボラティリティの低下を待ち、次のトレンド発生(特に3月の全人代に向けた期待上げ)の初動を捉える準備期間としたい。


