【2026-02-23の市況概要】 (Market Pulse)
連休明けの日本市場は、米国発の「リスクオフの嵐」を正面から受ける展開が予想される。米国市場では、NYダウが821ドルの急落となり、S&P500は1.04%安、Nasdaqも1.13%安と主要3指数が揃って大幅調整となった。
特筆すべきは投資家心理の急速な悪化である。恐怖指数(VIX)は前日比+10.06ポイント(約90%上昇)という記録的な急騰を見せ、一気に警戒水準の21.01へ到達した。為替市場ではリスク回避の円買いが進行し、ドル円は154.56円まで下落。これを受け、CME日経平均先物は大阪比で大幅安となっており、本日の東京市場は56,000円の節目を試す厳しい立ち上がりとなる公算が大きい。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の相場を支配する最大の要因は、トランプ政権による関税政策への不透明感と、それに伴う実体経済へのダメージ懸念である。
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関税リスクとインフレ再燃懸念:
トランプ氏の強硬な通商政策発言を受け、市場では「関税引き上げ=コスト増=企業業績悪化」の連想売りが加速した。特にグローバル展開するハイテク株や資本財セクターへの売り圧力が強い。これについては、AI淘汰懸念と関税リスク:IBM急落でVIX20台へ突入でも指摘した通り、政策リスクが市場のボラティリティを直接的に押し上げる局面に突入している。 -
VIXショックとリスクパリティの売り:
VIX指数が1日で10ポイント跳ね上がり20台に乗せたことで、ボラティリティ・ターゲット戦略をとるファンドやCTA(商品投資顧問)からの機械的な株式売却が誘発された可能性が高い。これが下げ幅を拡大させる負のフィードバックループを形成している。 -
円高進行による輸出株の重石:
リスク回避の円買いに加え、米金利(10年債利回り)が4.03%(-1.39%)へ低下したことで日米金利差が縮小。154円台半ばへの円高進行は、トヨタや半導体関連など主力輸出株の収益圧迫懸念として重くのしかかる。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(Condition: 米国株高・円安による続伸)は、不発(Miss)に終わった。
- 要因分析: テクニカル面での押し目買いや自律反発を想定していたが、「トランプ関税発言」という突発的なファンダメンタルズ要因が市場心理を完全に冷え込ませた。想定以上のVIX急騰により、投資家のセンチメントが「押し目買い(Greed)」から「リスク回避(Fear)」へ劇的にシフトしたことが、シナリオ崩れの主因である。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 (Asset) | 価格 (Price) | 変化 (Change 1d) | コメント (Comment) |
|---|---|---|---|
| VIX指数 | 21.01 | +10.06 (+91%) | 平穏な10台から急変。20超えは明確な警戒シグナル。オプション市場の恐怖感が突出。 |
| USD/JPY | 154.56 | -0.39 (-0.25%) | リスクオフの円買い。155円の防衛線が決壊し、下値模索の動き。詳細: トランプ関税15%表明で暗雲 |
| Nikkei 225 | 56,825.7 | (Pre-Market) | 先物主導で窓を空けての下落必至。56,000円の心理的・技術的サポートが機能するかが焦点。 |
| Gold (金) | 5,247.90 | +3.73 (+0.07%) | 株安・リスクオフの受け皿として底堅い。資金逃避先としての地位を再確認。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
AIによるセンチメントスコアは「28 (Fear)」を示しており、市場は完全に守りの態勢に入っている。
短期シナリオ (Short-term: 24-48h)
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メインシナリオ (Main – 確率60%):
- 展開: 米国株急落と円高(154円台)を嫌気し、寄付きから広範な売りが先行。日経平均は56,500円を割り込み、56,000円台前半の支持線をテストする展開。
- ドライバー: 海外勢の先物売りと、国内個人の投げ売り交錯。後場にかけても戻りは鈍く、陰線引けを予想。
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アップサイドシナリオ (Bull – 確率20%):
- 条件: 売り一巡後に56,000円の節目で強力な押し目買いが入る場合。
- 展開: 過度な警戒感が後退し、ショートカバーを巻き込んで56,500円台まで値を戻す。VIXの低下が確認できれば、自律反発の目が残る。
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ダウンサイドシナリオ (Bear – 確率20%):
- 条件: リスク回避姿勢がさらに強まり、56,000円の心理的節目を明確に割り込む場合。
- リスク: ストップロスを巻き込んだパニック的な売りを誘発し、55,000円台半ばまで下値を模索する「ナイアガラ」展開。
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着目イベント: 今夜の米消費者信頼感指数(CB Consumer Confidence)および、明日以降のトランプ大統領発言。
中期シナリオ (Mid-term: 1-2 Weeks)
- 見通し: Neutral/Bearish (中立・弱気)
- 重要イベント: 米CPI (2/25), トランプ大統領演説, 米GDP改定値 (2/27)。
- リスク: 通商政策リスクのさらなる増大と、インフレ指標(CPI)の上振れによる「スタグフレーション懸念」の台頭。これが現実化すれば、株式市場の調整は数週間単位で長引く可能性がある。
【投資戦略】 (Outlook)
スタンス: 「戻り売り」および「重要サポートでの慎重な見極め」
現状のVIXレベル(21台)とモメンタムを考慮すると、安易な押し目買い(Catching a falling knife)は推奨できない。ボラティリティが高まっているため、ポジションサイズを縮小し、リスク管理を徹底すべき局面である。
- デイトレード: 寄付きの売り一巡後の自律反発を狙うなら、56,000円近辺でのプライスアクションを確認してから。基本は戻り売り目線で、56,500円〜56,800円(窓埋め水準)がレジスタンスとなる。
- スイング: 本格的な買い出動は時期尚早。56,000円を維持できるか、あるいはさらに下の55,000円台での底打ちを確認するまで「様子見」が賢明。
- ヘッジ: ポートフォリオの一部をキャッシュ化、またはゴールド等の安全資産へシフトすることを検討。
Risk Level:
* Resistance (上値抵抗): 56,800円 (先週末終値近辺)
* Support (下値支持): 56,000円 (心理的節目)、55,500円 (ベアシナリオ・ターゲット)


