【2026-02-20の市況概要】
昨日の日本市場は、連騰による過熱感(RSI高水準)と米株安の余波を受け、日経平均株価は56,825円(前日比-1.12%)と反落し、想定された調整局面を消化した。しかし、引け後の米国市場では潮目が変化している。
トランプ政権による関税措置に対する違法判決が報じられたことで、貿易摩擦への過度な懸念が後退。これを好感し、S&P 500は6909.51(+0.69%)、Nasdaqは22886.07(+0.90%)と反発した。恐怖指数(VIX)は19.09(-5.64%)まで急低下しており、リスクセンチメントは「Greed(強欲)」水準を維持しつつも、過熱感は適度に解消されている。
為替市場ではドル円が154.99円近辺で推移しており、日本株にとっては居心地の良い水準を維持。本日の東京市場は、昨日の調整安に対する自律反発(Autonomous Rebound)がメインシナリオとなる。
【相場変動の主因】
米関税措置の無効化と不透明感の払拭
最大のドライバーは、米裁判所による「トランプ政権の関税措置に対する違法判決」である。これにより、市場が抱いていたスタグフレーション懸念(輸入品価格上昇によるインフレ+貿易量減少による景気減速)の一部が剥落した。
具体的には以下のメカニズムが働いている:
1. 政策リスク後退: 関税によるコスト増懸念が和らぎ、資本財・ハイテク関連への買い戻しが加速。
2. VIX低下: 将来のボラティリティ懸念が低下し、CTA(商品投資顧問)などのトレンドフォロワーが株式へのエクスポージャーを再拡大しやすい環境となった。
一方で、金(Gold)が5,130ドル(+3.1%)と急騰している点は見逃せない。株式のリスクオンと並行して「インフレヘッジ」または「通貨価値希薄化」への備えが進んでおり、今夜のPCE(個人消費支出)発表を前にしたヘッジ需要も混在している。
昨日のシナリオ検証
昨日の市場動向は、事前に策定したBearシナリオ(調整局面)に合致した。
* 想定条件: RSI高水準による利益確定売りと、米株安の波及。
* 結果: 日経平均は57,000円の節目を割り込み、56,825円で取引を終了。
* 要因分析: 想定通り、短期的な過熱感(RSI 70超えからの調整)が意識されたほか、時間外での米金利上昇がハイテク株の重荷となった。しかし、56,800円付近のサポートラインでは押し目買い意欲も確認されており、崩壊ではなく健全な「ガス抜き」であったと判断できる。
関連分析:ドル円155円接近で日経5.7万維持:RSI過熱と中東リスクの攻防
【注目アセット】
| 資産 | 価格 | 変化 (1d) | コメント |
|---|---|---|---|
| 日経平均 | 56,825円 | -1.12% | 昨日の調整でRSIは67.3へ低下。過熱感が和らぎ、57,000円回復に向けた「押し目」の形状。 |
| USD/JPY | 154.99円 | +0.19% | 155円の攻防。円安方向へのバイアスは継続しており、輸出関連株の下支え要因となる。 |
| Nasdaq | 22,886pt | +0.90% | 関税リスク後退でハイテク株に資金還流。東京市場の半導体セクターへのポジティブインパクトが大。 |
| Gold | $5,130 | +3.10% | 異例の急騰。株高との並走は「流動性相場」の継続を示唆。インフレ再燃リスクへの警戒信号でもある。 |
【シナリオ分析】
短期シナリオ(24〜48時間)
今夜発表される米GDP改定値およびPCEデフレーターを控え、日中は買い戻し優勢、夜間は指標次第の展開となる。
-
メインシナリオ(確率 60%):自律反発による57,000円台回復
- 根拠: 米株高とVIX低下を好感し、昨日のショートポジションの買い戻しが入る。ドル円が155円近辺で安定しているため、半導体・自動車などの主力株が指数を牽引。
- ターゲット: 57,500円水準。
- 注目点: 前場寄付きの買い一巡後、57,000円をサポートとして維持できるか。
-
アップサイド(確率 20%):海外勢の追随買い
- トリガー: ドル円が155.50円を明確に上抜け、かつアジア時間で米先物が一段高となる場合。
- 展開: 米金利上昇を「強い経済」と捉える業績相場へ移行し、日経平均は58,000円の大台回復を試す。
- 参照: 円安154円進行で日経5.7万突破:ハイテク回帰と過熱感の攻防
-
ダウンサイド(確率 20%):スタグフレーション懸念の再燃
- トリガー: 今夜の米GDPが予想下振れ、かつPCEが予想上振れ(成長鈍化+インフレ)となった場合。または日中、金利上昇を嫌気してグロース株が売られる展開。
- リスク: 戻り待ちの売りに押され、56,500円の支持線を割り込むと、調整が長期化する恐れがある。
中期シナリオ(1〜2週間)
- 見通し: Neutral (中立)
- 重要イベント: 米個人消費支出 (PCE) (2/20), 東京コアCPI (2/26), 米GDP改定値 (2/27)。
- リスク: 米インフレの高止まりが確認された場合、FRBの利下げ観測がさらに後退し、金利上昇が株価の重石となる(「悪い金利上昇」への転換)。また、国内では日銀の政策修正観測が再浮上する東京CPIの結果に注意が必要。
【投資戦略】
「押し目買い(Buy Dips)」継続、ただしデータ次第で柔軟に
昨日の下落で短期的な過熱感が解消されたため、本日は自律反発狙いのロングが基本戦略となる。特に、昨日の調整で売り込まれた半導体関連や、円安恩恵のある輸出関連株のリバウンドに妙味がある。
- エントリー: 寄付き後の落ち着きどころ、または57,000円近辺での押し目。
- リスク管理(撤退ライン): 56,500円。ここを割り込むようであれば、今夜の米PCEに対する警戒感が勝っていると判断し、ポジションをスクエアに戻す「様子見」へ移行すべきである。
- 注意点: Goldの急騰は「何か」を織り込みに行っている可能性がある。株式ロングのヘッジとして、コモディティ関連への分散も一考の余地あり。


