【2026-02-18の市況概要】 (Market Pulse)
本土市場(上海・深セン)が春節休暇で休場の中、香港市場(ハンセン指数)は26,705.94ポイント(前日比+0.52%)で取引を終え、底堅い推移を見せた。
特筆すべきは、米国市場におけるハイテク株の復調(Nasdaq +0.78%)と、原油先物(WTI)の急騰($64.94, +4.19%)である。米製造業の回復期待がコモディティ価格を押し上げた一方、VIX指数は19.62(-3.3%)へと低下し、市場心理は「Greed(強欲)」領域にある。
しかし、ブラジルによる対中鉄鋼関税の決定や極超音速兵器を巡る地政学リスクがくすぶり続けており、手放しでのリスクオンには至っていない。春節明けの本土市場再開を見据え、香港市場はポジティブな消費データと外部環境のリスク要因を天秤にかける展開となった。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
1. 春節消費の堅調さとAIセクターへの資金流入
最大のドライバーは、春節期間中の観光客数が前年比+8%と報じられたことによる内需回復期待である。これにより、香港市場ではカジノ・旅行関連銘柄が指数を下支えした。加えて、中国の生成AIスタートアップ「Moonshot AI」による大型資金調達のニュースが市場心理を改善させ、米国のAI・半導体株高(NVIDIA等)との連動性を強めている。これは、春節香港は観光期待で底堅さ:トランプ対中包囲網とVIXの行方でも指摘した通り、実需データがセンチメントを支える構造が継続していることを示唆する。
2. 地政学リスクの顕在化(ブラジル関税と兵器開発)
一方で上値を抑えた要因は、ブラジルが中国製鉄鋼に対し最大でトン当たり670ドルのアンチダンピング関税を課すとの報道だ。これは中国の輸出主導型回復シナリオに対する冷や水となる。また、「中国が極超音速兵器で米国を凌駕」との報道は、中長期的には米国の対中規制強化(特にトランプ政権下のタカ派姿勢)を招くリスクとして意識されている。
3. 米国マクロ経済の追い風
米国の工場生産高が1年ぶりの高水準を記録したことは、世界的な景気後退懸念を和らげ、原油価格の4%超の上昇を招いた。これは資源関連株にはプラスだが、インフレ再燃リスクとして来週のPCEデフレータへの警戒感を残す形となった。
昨日のシナリオ検証
昨日(2月17日)のメインシナリオ「本土休場継続も、春節の観光・消費データが堅調で米株高も追い風 -> ハンセン指数は26,600-26,900のレンジ高値を維持」は【的中】した。
勝因は、春節の消費データ(観光客増)が想定通り強かったことと、米株高が外部環境を好転させたことにある。ブラジルの関税ニュースによる下押し圧力があったものの、AI関連のモメンタムと消費期待が勝り、予測レンジ内での高値引けとなった。詳細な背景分析については、春節突入、上海4080台で越週:香港市場の「AIプラス」期待とVIX警戒を参照されたい。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化 (1d) | コメント |
|---|---|---|---|
| Hang Seng (HSI) | 26,705.94 | +0.52% | 観光客増(+8%)を受けレンジ上限を試す展開。27,000の壁を意識。 |
| Crude Oil (WTI) | 64.94 | +4.19% | 米製造業回復を受け急騰。中国の需要回復期待も後押し。 |
| Gold | 4,996.10 | +2.32% | リスクオンの中でも、地政学リスク(極超音速兵器・関税)ヘッジで買われる。 |
| USD/CNY | 6.91 | -0.01% | 本土休場で動きは限定的。6.90台前半での安定推移が続く。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
市場は「春節消費の好調」と「地政学リスク」の綱引き状態にある。短期的にはリスクオン優勢だが、週末を控えたポジション調整に注意が必要だ。
短期シナリオ (今後24-48時間)
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メイン (Main) – 確率 50%
- 条件: 春節の観光・消費データが引き続き堅調で、米株市場が底堅さを維持する場合。
- 展開: ハンセン指数は26,600-26,900のレンジ高値を維持。AI・テック株および消費関連株が指数を下支えするが、27,000の心理的節目手前では戻り待ちの売りが出る。
- 着目イベント: 今夜のFOMC議事要旨(タカ派トーンの有無)。
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アップサイド (Bull) – 確率 30%
- 条件: Moonshot AIに続く中国テック企業の好材料や、米PCEに向けたインフレ鈍化観測が台頭する場合。
- 展開: 心理的節目の27,000ポイントを明確にブレイクし、ショートカバーを巻き込んで27,200を目指す展開。リスクオンが加速し、VIXは18台へ低下。
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ダウンサイド (Bear) – 確率 20%
- 条件: ブラジルの関税発動に続き、他国からの保護主義的な動きが報じられる、あるいは極超音速兵器に関する米国の強硬な反応が出る場合。
- 展開: 週末を前にした利益確定売りが優勢となり、26,400付近まで調整。特に鉄鋼・輸出関連株が売られる。
中期シナリオ (1-2週間)
- 見通し: Bullish (強気)
- 重要イベント: 本土市場再開(来週)、全人代(3月)、米PCEデフレータ
- リスク: トランプ政権による対中関税政策の具体化(EV・鉄鋼)、中国不動産セクターの信用不安再燃。
- 本土市場再開後は、連休中の海外市場の上昇分を織り込む「ご祝儀相場」が期待されるが、実体経済データ(PMI等)との乖離が焦点となる。
【投資戦略】 (Outlook)
結論: 押し目買い (Buy Dips) / 27,000接近時は一部利確
春節データが裏付ける内需の底堅さと、グローバルなリスク選好(Greed)環境を考慮し、基本戦略はロング継続とする。ただし、27,000ポイントは強力なレジスタンスとなる可能性が高いため、同水準での深追いは避け、レンジ下限での拾いを徹底したい。
- エントリーゾーン: 26,550 – 26,650 (レンジ下限〜中央)
- 利益確定ターゲット: 26,950 – 27,100
- ストップロス (Risk Level): 26,350 (レンジブレイクおよび主要サポート割れ)
特に、AI関連や観光・消費セクターへの資金流入は継続性が高いため、これらのセクターリーダーへの押し目買いが有効である。一方で、ブラジル関税の影響を受ける素材・鉄鋼セクターへの配分は縮小すべきである。


