【2026-02-17の市況概要】 (Market Pulse)
米国市場は、重要イベントであるCPI(消費者物価指数)の発表を通過し、方向感を模索する展開となりました。S&P500は前日比+0.1%の6843.22、ナスダック総合指数は+0.14%の22578.38と、共に小幅な反発にとどまっています。
特筆すべきは債券市場と恐怖指数の乖離です。CPIの伸び鈍化を受けて米10年債利回りは4.05%へと低下(債券価格は上昇)し、本来であればハイテク株の強力な追い風となる環境でした。しかし、VIX指数(恐怖指数)は依然として20.29という警戒領域で高止まりしており、地政学リスク(特にイラン・ホルムズ海峡情勢)への懸念が投資家心理を冷え込ませています。
セクター別では、Amazonが9日続落の後に反発するなど一部のメガキャップに買い戻しが見られたものの、本格的なリスクオンには至っていません。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の市場を動かした主因は、「インフレ鎮静化による金利低下」と「地政学リスクによるリスクプレミアム上昇」の綱引きです。
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金利低下の恩恵(+要因):
CPIが前月比0.0%(予想下振れ)となったことで、FRBのタカ派姿勢が緩和されるとの期待が浮上しました。これに伴い長期金利が4.05%まで低下。理論上、これは高PERのハイテク株にとってプラス材料であり、実際にMetaがNvidiaのチップをデータセンターへ大量導入するとの報道や、Anthropicによる「Claude Sonnet 4.6」のリリースといったAI関連の好材料が下値を支えました。 -
地政学リスクの重石(-要因):
一方で、中東情勢の不透明感からVIX指数は前日から低下したものの依然20台を推移しています。これは機関投資家がダウンサイドリスクに対して高額なヘッジコストを支払っていることを示唆しており、積極的な上値追いを阻害しました。
昨日のシナリオ検証
昨日のレポートで提示したメインシナリオ(Condition: CPI鈍化による金利低下と地政学リスクの拮抗 -> 6800-6850のレンジ推移)は【的中】しました。
要因としては、想定通りCPI鈍化が金利低下を促しハイテク株の下支えとなった一方で、VIXの高止まりが上値を抑制したためです。S&P500の終値は6843となり、予測レンジ(6800-6850)内に収まりました。
詳しくは以下のレポートもご参照ください。
VIX21台へ急伸の警戒感:米金利4%台前半でもハイテク軟調
【注目アセット】 (Asset Watch)
本日の相場で特に注目すべきアセットの動向は以下の通りです。特にナスダックのテクニカル指標は極めて重要なシグナルを発しています。
| 資産 | 価格 | 変化 | コメント |
|---|---|---|---|
| Nasdaq | 22,578.38 | +0.14% | RSIが29.6を記録。30割れは典型的「売られ過ぎ」水準であり、自律反発の蓋然性が高まっている。 |
| US 10Y Yield | 4.05% | -0.10% | 直近1ヶ月で4%超の下落。債券買い(金利低下)は株式のバリュエーション面でサポート材料。 |
| VIX | 20.29 | -1.50% | 前日の急騰から小幅に低下も、依然として「不安心理」の境界線である20を超えており警戒が必要。 |
| Gold | 4,896.10 | -2.51% | 金利低下にも関わらず下落。短期的な利益確定売りか、あるいはキャッシュ確保の動きか注視が必要。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
ナスダックのRSIが30を割り込んでいる現状、テクニカルな反発(自律反発)は時間の問題と考えられますが、その強度は本日の小売売上高などのマクロ指標に依存します。
短期シナリオ (今後24-48時間)
- メインシナリオ (確率 50%)
- 条件: CPI鈍化による金利低下(4.05%近辺)が継続しつつも、地政学リスクが上値を抑える。
- 展開: ナスダックは売られ過ぎ水準(RSI 29.6)からの自律反発を試みるが、VIX 20台が重石となり、S&P500は6800台半ばでの揉み合いが続く。AmazonやMetaなどの個別材料株が指数をサポートする。
- アップサイド (確率 30%)
- トリガー: 本日発表の小売売上高が堅調でリセッション懸念が後退、かつAI関連の好ニュースが続く場合。
- 展開: VIXが20を下回り、ショートカバー(売り方の買い戻し)を誘発。S&P500は6900ラインへの回復を試す。
- ダウンサイド (確率 20%)
- トリガー: ホルムズ海峡情勢の突発的悪化、または小売売上高が予想を大きく下回りスタグフレーション懸念が再燃する場合。
- リスク: リスクオフが加速し、S&P500は心理的節目の6800を割り込み、6750レベルへ下落。
- 着目イベント: 本日発表の小売売上高 (Retail Sales)。消費の底堅さが確認できれば、過度な景気後退懸念が和らぎます。
中期シナリオ (向こう1-2週間)
- 見通し: Neutral/Bearish (中立・弱気)
- 重要イベント: FOMC議事要旨 (2/18)、米PMI速報値 (2/20)、小売売上高の結果消化。
- リスク: 地政学リスクのさらなる悪化と、それに伴う原油価格の高騰(コストプッシュ・インフレ)。
【投資戦略】 (Outlook)
スタンス: 「短期的な押し目買い・自律反発狙い(ただし損切りはタイトに)」
ナスダックのRSIが29.6という極端な売られ過ぎ水準にあるため、数日単位のスイングトレードでは自律反発(Dead Cat Bounce含む)を狙ったロングに分があります。特に金利低下の恩恵を受けやすく、かつ好材料が出ているAI・半導体関連(Nvidia, Meta周辺)への選別的なエントリーが有効でしょう。
ただし、VIXが20を超えている以上、トレンド転換と決めつけるのは早計です。「落ちてくるナイフ」を掴むリスクがあるため、S&P500が6800を明確に割り込んだ場合は即座に撤退する規律が求められます。
- エントリー目安: ナスダック指数の現水準付近、またはS&P500の6820近辺。
- リスクレベル (Stop Loss): S&P500 6790 割れで撤退。
- ターゲット: S&P500 6880 – 6900 ゾーン。


