【2026-02-15の市況概要】
米10年債利回りが4.06%まで急低下したにもかかわらず、クリプト市場は上値の重い展開が続いている。ビットコイン(BTC)は心理的節目の70,000ドル回復に失敗し、前日比-1.1%の68,998ドル付近で推移。イーサリアム(ETH)はさらに弱く、-5.8%の1,965ドルと大きく値を下げた。
特筆すべきは、金利低下という本来の追い風要因が、VIX指数(恐怖指数)の20.6という高止まりによって相殺されている点だ。株式市場ではNasdaqが続落しており、リスク資産全体に対する警戒感(Risk-off)が、個別材料(ApolloのDeFi参入など)によるポジティブなモメンタムを抑制している構造が見て取れる。
【相場変動の主因】
市場を支配しているのは「質への逃避(Flight to Quality)」と「高値警戒感」の綱引きである。
- 金利低下とリスクオフの乖離
米CPI通過後、インフレ懸念の後退により債券買い(金利低下)が進んだ。通常であればBTCにとって強力な買い材料だが、今回はS&P500やNasdaqの調整と同期しており、BTCは「インフレヘッジ」ではなく「ハイベータ・リスク資産」として売られている。 - VIX 20台の重圧
VIXが警戒域とされる20を超えて推移していることは、機関投資家がダウンサイドプロテクション(プット買いなど)を厚くしていることを示唆する。これにより、70,000ドル付近での戻り売り圧力が構造的に強まっている。 - BlackRockの警告とレバレッジ
BlackRockのデジタル資産責任者が指摘した「レバレッジ主導のボラティリティ」が現実化しつつある。特にETHの下落幅がBTCを上回っている点は、アルトコイン市場における投機ポジションの解消(Unwind)が進んでいる証左である。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(米金利低下が下値を支えるも上値限定)は、結果としてBearシナリオ(下落)寄りの展開となった。
想定通り米10年債利回りは4.06%まで低下し下値サポート要因として機能したが、VIXが20台で高止まりしたことでリスク回避姿勢が勝り、70,000ドルのレジスタンスを突破できず68,000ドル台後半へ押し戻された。市場はマクロの追い風よりも、テクニカルな過熱感調整を優先した形だ。
参考分析:米CPI鈍化でBTC6.8万ドル急反発:Coinbase株と連動する相場転換
【注目アセット】
| 資産 | 価格 | 変化 (1d) | コメント |
|---|---|---|---|
| Bitcoin (BTC) | $68,998 | -1.10% | 7万ドルが重い。RSI 39と弱含みだが、金利低下が底割れを防ぐ構図。 |
| Ethereum (ETH) | $1,965 | -5.80% | BTCに対し大幅アンダーパフォーム。DeFi関連の好材料への反応が鈍い。 |
| Gold (XAU) | $5,046 | +2.49% | 真の勝者。リスクオフと金利低下の恩恵をフルに享受し最高値圏へ。 |
| VIX Index | 20.6 | -1.06% | 前日比微減も依然20台。この水準が続く限り、積極的な上値追いは危険。 |
【シナリオ分析】
短期シナリオ(24-48時間)
現在の市場環境は「金利低下(強気)vs VIX高止まり(弱気)」の拮抗状態にある。
- メインシナリオ (確率 60%)
- 展開: 68,500〜69,500ドル付近でのレンジ推移。
- 根拠: 米金利の低下がショート勢の踏み上げを警戒させる一方、買い材料不足で7万ドルブレイクには至らない。FOMC議事録待ちの膠着状態となる。
- アップサイド (確率 20%)
- トリガー: ApolloのMorphoトークン取引など、機関投資家のDeFi参入ニュースの再評価。または金(ゴールド)価格の上昇に連れ高する形。
- ターゲット: 70,000ドルの明確な奪還と、ショートカバーによる71,200ドル到達。
- 参考:X決済報道と金利急低下:BTC7万ドル再挑戦とインフレ安堵
- ダウンサイド (確率 20%)
- トリガー: テクニカル悪化(RSI 40割れの定着)と米国株の追加調整。
- リスク: 68,000ドルのサポート割れ。ここを抜けるとストップロスを巻き込み66,500ドルまで走る可能性がある。
中期シナリオ(1-2週間)
- 見通し: Neutral (中立)
- 重要イベント:
- 2/18: FOMC議事録(タカ派トーンの有無を確認)
- 2/20: 米製造業PMI(景気減速懸念の確認)
- リスク: インフレ指標の再燃による金利反転、またはVIXの急騰(>25)による全面リスクオフ。
【投資戦略】
結論:様子見(レンジ内での短期逆張り推奨)
現在のBTCは、マクロ環境(金利)と市場心理(VIX)がねじれているため、明確なトレンドが発生しにくい。スイングトレーダーとしては、無理に方向性を決め打ちせず、レンジ端での逆張りが有効。
- エントリー戦略:
- Long: 68,000ドル付近まで引きつけてからの押し目買い。ストップは67,500ドル割れに浅く設定。
- Short: 70,000ドル手前での戻り売り。70,500ドルブレイクで即撤退。
- 注視すべき相関: 通常の「ドル安=BTC高」の方程式が崩れているため、Gold価格との連動性に注目したい。Goldが上昇を続ける中でBTCが追随し始めれば、強気転換のサインとなる。


