【2026-02-14の市況概要】 (Market Pulse)
週末の米国市場は、注目のCPI(消費者物価指数)がインフレ鈍化を示したものの、株式市場の反応は限定的となり、方向感を欠く展開となりました。S&P500は 6836.17 (+0.05%) とほぼ横ばい、Nasdaqは 22546.67 (-0.22%) と小幅続落して取引を終えています。
特筆すべきは債券とコモディティの動きです。インフレ鎮静化観測から米国10年債利回りは 4.06% (-1.17%) へと急低下しましたが、通常であれば追い風となるはずのハイテク株は上値が重く、代わりにゴールドが $5,022 (+2.00%) と急伸し、資金の逃避先として機能しています。VIX指数は 20.6 と依然として警戒水準の20台を維持しており、市場心理は「Fear(恐怖)」の領域(スコア35)に留まっています。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
金利低下と株価の「デカップリング」
市場のメインテーマは「インフレ懸念」から「景気減速(リセッション)懸念」へと明確にシフトしています。
通常、CPI鈍化による金利低下(TNX 4.06%)は、バリュエーション面でハイテク株の強力な支援材料となります。しかし、昨日の市場ではMicrosoft等のAI関連株が軟調に推移し、逆にUtilities(公益)やゴールドが買われました。これは投資家が、「金利低下」をポジティブな金融緩和シグナルとしてではなく、「需要減退」のシグナルとして受け止め始めたことを示唆しています。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(条件:CPI通過後のS&P500 6800-6850レンジ推移)は 的中 しました。
想定通りCPI(2.4%)が予想を下回ったことで下値は堅かったものの、AI収益化への懸念や週明けの小売指標への警戒感が上値を抑え、指数は狭いレンジでの着地となりました。この動きは、以前レポートした CPI直前のS&P500戦略 で指摘した通り、スタグフレーション懸念が根底にあるため、単純な「金利低下=株高」の方程式が成立しづらくなっています。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化 | コメント |
|---|---|---|---|
| Gold (GC=F) | $5,022 | +2.00% | 安全資産への回帰が鮮明。高値更新で青天井モード。 |
| US 10Y Yield | 4.06% | -1.17% | 節目となる4.0%割れを試す展開。債券買い(金利低下)圧力強し。 |
| Nasdaq (^IXIC) | 22,546 | -0.22% | RSI 33.6 と売られ過ぎ水準だが、自律反発の力が弱い。 |
| VIX Index | 20.6 | -1.06% | 依然として20台。オプション市場はダウンサイドリスクを警戒。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
短期シナリオ(今後24-48時間)
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メインシナリオ(確率 60%)
- 展開: 「悪いニュースは悪いニュース」として扱われるフェーズ。金利低下が続いてもハイテク株への資金還流は限定的で、ディフェンシブセクターやゴールド選好が続く。S&P500は 6800-6850 のレンジ内で、下値を固める動き。
- アクション: ゴールドや公益株の押し目買い。ハイテク株は戻り売り目線。
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アップサイドシナリオ(確率 25%)
- 条件: 長期金利が4.0%を明確に割り込み、かつNasdaqのRSI(33.6)が示す「売られ過ぎ」是正の買い戻しが入る場合。
- ターゲット: S&P500は 6900 ポイント回復を目指す。AI関連株のショートカバーが主導。
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ダウンサイドシナリオ(確率 15%)
- リスク: 週明けの小売売上高を前にしたリスクオフ加速。またはAIセクターの個別悪材料。
- ターゲット: 心理的節目の 6800 を割り込み、前回安値付近の 6750 まで調整。
中期シナリオ(1-2週間)
- 見通し: Neutral / Bearish (中立・弱気)
- 重要イベント: 週明けの小売売上高 (2/17)、FOMC議事要旨 (2/18)、PCEデフレーター (2/20)。
- リスク: 消費マインドの悪化とAIセクターのバリュエーション調整。特に 小売ショックでスタグフレーション懸念 が現実味を帯びる場合、一段の調整は避けられません。
【投資戦略】 (Outlook)
基本スタンス: ディフェンシブ・シフト(様子見推奨)
現在の市場環境は「金利低下」を好感できない「質への逃避」局面にあります。S&P500のRSI(40.3)やNasdaqのRSI(33.6)はテクニカル的な反発を示唆する水準まで低下していますが、ファンダメンタルズの懸念(リセッション)が勝っているため、安易なハイテク株の押し目買いは推奨しません。
- Swing Trade: ハイテク株への積極的なエントリーは控え、 6800 ラインでの底堅さを確認するまで「様子見」。もしロングを持つなら、トレンドが強いゴールドや、 67%急騰でもプロが「買い」と断言する構造的要因 を背景としたコモディティ関連が優位です。
- Risk Level: ダウンサイドの防衛ラインは S&P500 6800。ここを終値で割り込むようであれば、さらなる調整(6750方向)に向けたヘッジが必要です。
Reference:
* CPI鈍化もAI懸念で上値重く:Pinterest急落とゴールドへの資金逃避
* Cisco・Apple急落でVIX20台へ:S&P500節目割れとCPI警戒


