【2026-02-13の市況概要】
本日の中国(CN)市場は、心理的な重要節目であった4100ポイントを明確に下回り、調整色が一段と強まる展開となった。上海総合指数は前日比-1.26%の4082.07で取引を終了。ハンセン指数(HSI)も-1.72%の26567.12と続落した。
特筆すべきは、米国市場で「インフレ鈍化(CPI)」が確認され、米10年債利回りが4.06%(-1.17%)へ低下したにもかかわらず、中国株がその恩恵を享受できなかった点である。通常、米金利低下は新興国市場への資金還流を促すが、今回は中国固有の地方財政懸念と、世界的なリスク回避姿勢(VIX指数20.6への急騰)がこれを打ち消した。
為替市場では、オンショア人民元(USD/CNY)が6.91付近で膠着しており、株安の割に通貨は底堅い動きを見せている。これは当局の管理姿勢または米ドル安による相対的な強さが影響していると見られる。
【相場変動の主因】
1. 地方財政見通しの悪化とセンチメント冷却
最大の売り材料は、中国地方政府の歳入見通し引き下げに関する報道である。不動産市況の低迷が長引き、土地譲渡益に依存する地方財政の構造的な脆弱性が改めて意識された。これが投資家心理を直撃し、「Fear(恐怖)」スコアは38まで低下している。
2. 世界的なリスクオフ(VIX 20超え)の余波
米国のインフレ鈍化観測は本来ポジティブだが、同時に景気減速懸念やAI関連セクターのバリュエーション調整圧力が強まっている。VIX指数が警戒ラインとされる20を超えて推移しており、グローバル・ファンドが新興国エクスポージャーを縮小する動き(Flight to Safety)が中国株の重石となった。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(Condition: 米金利低下を好感しつつも4100攻防)は不成立(Missed)となり、Bearシナリオ(Condition: 地方債務懸念とVIX上昇で4100割れ)が実現した。
- 要因分析: 想定以上に地方財政ニュースへの感応度が高かったこと、および米国市場のハイテク株調整(Nasdaq -0.22%)がセンチメントを悪化させたことが主因である。4100のサポートラインにおける押し目買い意欲は極めて限定的であった。
- 参考: この4100攻防の重要性については、以下の過去レポートでも指摘していた通りである。
【注目アセット】
| 資産 | 価格 | 変化 (1D) | コメント |
|---|---|---|---|
| 上海総合 (SSEC) | 4082.07 | -1.26% | RSIは43.9へ低下。4100がレジスタンス化するリスク。次の目処は4050-4000。 |
| ハンセン指数 (HSI) | 26567.12 | -1.72% | 米金利低下の恩恵よりも、本土景気懸念が勝る。ボラティリティ高く不安定。 |
| USD/CNY | 6.91 | -0.07% | 株安でも元は崩れず。米ドル安に加え、当局のアンカー機能が働いている可能性。 |
| VIX指数 | 20.60 | -1.06% | 前日比では微減だが、依然として20台の高水準。リスク資産への資金流入を阻害。 |
【シナリオ分析】
短期シナリオ(今後24-48時間)
- メイン(確率 55%):4050-4100での値固め・戻り待ち
- 米CPI通過による米金利低下は下支え要因となるが、上値は4100の旧サポートラインに抑えられる。RSI低下により自律反発の余地はあるものの、積極的な買い手不在で4050付近での底堅さを確認する展開。
- アップサイド(確率 20%):4120への自律反発
- ミュンヘンでの米中トップ会談(王毅・ルビオ)において、具体的な緊張緩和策や貿易面でのポジティブサプライズが出た場合。または、AI関連で「中国製AI技術」に関するポジティブな再評価が起きた場合。
- ダウンサイド(確率 25%):4000ポイントへの続落
- 地方債務問題に関する新たなネガティブヘッドライン、あるいはVIXが再び22-25へ急騰する場合、パニック売りが加速し心理的節目である4000を試しに行く。
着目イベント:
* ECBラガルド総裁発言: 欧州の対中スタンスや世界景気認識に注目。
* 米中高官発言: 週末にかけての地政学リスクの増減。
中期シナリオ(1-2週間)
- 見通し: Neutral / Bearish
- 重要イベント: 3月の全人代(NPC)、FOMC議事録
- リスク要因: 地方政府債務問題の表面化(デフォルト懸念等)、米中対立の突発的悪化(AI規制強化など)。
- 構造的視点: 以前のレポート米株爆騰でも中国独歩安:CPI控え4050攻防と構造的懸念で指摘した通り、構造的な懸念が払拭されない限り、上昇トレンドへの復帰は困難である。
【投資戦略】
結論:戻り売り(Sell Rallies) / 様子見
4100ポイントの主要サポートを下抜けたことで、短期的なトレンドは「調整」から「下落」へ傾きつつある。現時点での押し目買い(Buy Dips)は早計であり、リスクが高い。
- エントリー戦略:
- Short: 4100-4120付近まで反発した局面での戻り売り。ターゲットは4050、次いで4000。
- Long: 4000ポイントの大台、もしくはRSIが30台に突入するセリングクライマックスを確認するまで静観。
- リスク管理:
- 4150を明確に奪還した場合は、ベア視点を撤回しNeutralに戻す。
参考資料:
人民元相場の底堅さと株価の乖離については、以下の分析も参照されたい。
米中休戦延長とGLM-5:人民元6.91突入で上海株は底堅い推移


