【2026-02-12の市況概要】 (Market Pulse)
昨日の日本市場引け後、世界の投資家心理は急速に冷却されました。米国市場では、Nasdaqが2.03%下落、S&P500も1.57%安と大幅反落となり、恐怖指数であるVIX指数は前日比+17.96%の急騰で20.82に達しました。これは「警戒領域」への突入を意味します。
為替市場では、米金利低下(10年債利回り4.10%)に伴い日米金利差縮小が意識され、ドル円は152.73円まで円高が進行しました。昨日の日経平均は57,639円で引け、高値圏での強さを見せていましたが、CME日経平均先物の動向を鑑みると、本日は「米ハイテク株安」と「円高」のダブルパンチにより、大幅なギャップダウン・スタートが不可避な情勢です。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の調整圧力を形成する主因は、「米CPI発表を控えたハイテクセクターのポジション調整」と「VIX急騰によるリスク回避姿勢の強まり」です。
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米ハイテク株の評価調整:
明日(2/13)に控える米消費者物価指数(CPI)の発表を前に、これまで相場を牽引してきたハイテク株に対し、利益確定売りが殺到しました。特にNasdaqのRSIが36.2まで低下していることは、短期的なモメンタムの崩壊を示唆しています。この動きについては、以前のレポートCisco・Apple急落でVIX20台へ:S&P500節目割れとCPI警戒でも警戒していた通り、過度な楽観論の修正が入っています。 -
円高進行と輸出採算悪化:
ドル円が152.73円まで下落したことは、トヨタ自動車など輸出関連銘柄にとって重荷となります。155円台を前提としていた短期筋にとっては、梯子を外された形となり、先物主導での売り圧力が強まるでしょう。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(Condition: 米株底堅さと円安維持で57,500円台固め)は、日中の取引終了時点では「Hit(的中)」しましたが、ナイトセッションを含めた広義の市場環境としては「Miss(乖離)」へと転じました。
この乖離の主因は、引け後の米国市場におけるVIX指数の20超えという突発的なボラティリティ拡大です。昨日の日本時間帯には見られなかった「質への逃避」が急速に進んだことで、昨日のBull Scenarioの前提条件(底堅い地合い)が崩れ、本日はBear Scenarioの条件(パニック売り)に近い環境でスタートすることになります。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 (Asset) | 価格 (Price) | 変化 (Change) | コメント (Comment) |
|---|---|---|---|
| Nikkei 225 | 57,639.84 | -0.02% | 昨日の終値。RSI 71.6と過熱感が残存しており、本日の調整余地は大きい。 |
| USD/JPY | 152.73 | -1.13% | 152円台半ばへの突入は輸出株への強いアゲインスト風。 |
| Nasdaq | 22,597.15 | -2.03% | 2%超の下落はセンチメント悪化の象徴。半導体関連への波及必至。 |
| VIX | 20.82 | +17.96% | 節目である20を突破。オプション市場でのプット買い(ヘッジ)が急増している証左。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
短期シナリオ (Short-term: 24-48h)
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メイン (Main – 60%):
米ハイテク急落と152円台への円高を嫌気し、寄付きから売り先行。半導体株(東エレク、アドバンテスト等)が指数を押し下げ、日経平均はRSIの過熱感(71.6)を解消しながら56,800円~57,200円のレンジへ調整する展開。後場にかけて新NISA等の押し目買いが入るものの、戻りは鈍い。 -
ダウンサイド (Bear – 25%):
VIX指数のさらなる上昇(22超え)により、アルゴリズムによるリスクパリティ(株式売り・債券買い)が発動する場合。パニック的な売りが誘発され、節目の56,500円を割り込み、56,000円の攻防戦へ突入する。米CPIへの警戒感が極端に高まるケース。 -
アップサイド (Bull – 15%):
売り一巡後、ドル円が153円台半ばまで急速にリバウンドする場合。57,200円付近で下げ渋り、引けにかけてショートカバーが入る展開。ターゲットは57,400円回復。 -
着目イベント:
- 本日夜:米GDP発表、新規失業保険申請件数
- 明日:米消費者物価指数(CPI)
中期シナリオ (Mid-term: 1-2 Weeks)
- 見通し: Neutral(中立・調整)
- 重要イベント: 米CPI (2/13)、米小売売上高 (2/17)、FOMC議事録
- リスク: 米インフレ再燃懸念による金利反発と、それに伴う株価バリュエーションの剥落。また、日銀のタカ派発言による急激な円高。
中期的な視点では、現在の調整は健全な範囲内とも言えます。詳しくは高市バブル2.0で円高無視の5.7万到達:米CPI前の過熱感と死角でも触れましたが、スピード調整を経た後のCPI通過後のアク抜け感を待つフェーズです。
【投資戦略】 (Outlook)
結論:短期は「戻り売り」または「静観(Wait)」、下値メドは56,800円。
本日の戦略としては、安易な押し目買い(Dip Buying)は推奨されません。VIXが20を超えている局面では、ボラティリティが高まりやすく、オーバーシュート(行き過ぎた下落)が発生するリスクがあります。
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スイングトレーダー:
現状のロングポジションは一度縮小し、キャッシュ比率を高めるのが賢明です。56,800円付近まで引きつけた上で、短期的な反発(デッドキャット・バウンス)を狙うか、あるいはCPI通過までノーポジションでリスク回避に徹することを推奨します。 -
リスク管理:
日経平均先物が57,500円を回復できない限り、トレンドは一時的に下向きです。ドル円が152円を明確に割り込んだ場合は、さらなる下落(56,000円割れ)に警戒してください。


