【2026-02-11の市況概要】 (Market Pulse)
建国記念日の祝日で日本市場が休場となった昨日、グローバル市場では為替相場の激動が最大の焦点となりました。米国市場ではS&P 500が6,941.47(前日比フラット)、Nasdaqが23,066.47(-0.16%)と小幅な動きに留まったものの、ドル円(USD/JPY)は一時153.11円まで急落(-1.94%)しました。
この急激な円高進行は、休場前の日経平均株価が57,650円で引け、RSIが74.3という「買われすぎ」水準にあった日本株にとって、冷や水を浴びせる格好となります。CME日経平均先物の動向を勘案すると、連休明けの本日は輸出関連株を中心に売り優勢でのスタートが不可避な情勢です。
一方、VIX指数は17.65(-0.79)と低下しており、市場全体の恐怖感は抑制されています。これは「暴落」というよりは、急ピッチな上昇に対する「健全なポジション調整」の範囲内であることを示唆しています。詳細は高市バブル2.0で円高無視の5.7万到達:米CPI前の過熱感と死角でも指摘した通り、過熱感の解消が先行する展開となるでしょう。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
昨晩の市場を動かした最大のドライバーは、「米インフレ指標の鈍化に伴うドル売りの加速」です。
- 米CPI・PPIの鈍化:
発表された米消費者物価指数(CPI)および卸売物価指数(PPI)は市場予想を下回る結果となり、インフレ鎮静化が改めて確認されました。これによりFRBの利下げ観測が維持され、米長期金利(10年債利回り)は4.17%付近で上値が重い展開となりました。 - ドル円の急落(155円→153円台):
金利差縮小を意識したドル売りが殺到し、ドル円は節目の155円を割り込むと、ストップロスを巻き込みながら153.11円まで下落幅を拡大しました。 - 日本株へのインプリケーション:
休場明けの日本市場では、この「2円近い円高」が直接的な業績懸念材料として機能します。特に、これまで指数を牽引してきた自動車・半導体セクターにとっては、短期的な利益確定売りの口実となる公算が高いでしょう。
昨日のシナリオ検証
昨日のメインシナリオ(条件:米CPI下振れによるゴルディロックス相場)は、米国株に関しては概ね的中しましたが、日本株への波及効果としては修正を余儀なくされました。
- 要因: 「米CPI下振れ」という強気条件は満たされたものの、副作用としての「急速な円高(Bearシナリオ条件:153円台)」が同時に発生したためです。
- 分析: 米国経済自体はCPI鈍化と雇用増でゴルディロックス:S&P500横ばいも円急伸153円で解説されている通り堅調ですが、日本市場に関しては「為替のマイナスインパクト」が「米国株高の恩恵」を相殺、あるいは上回る形となりました。このため、本日はシナリオを「調整局面」へシフトします。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 (Asset) | 価格 (Price) | 変化 (Change) | コメント (Comment) |
|---|---|---|---|
| USD/JPY | 153.11 | -1.94% | 最大の焦点。152円台突入なら日経平均への下げ圧力加速。 |
| Nikkei 225 | 57,650.54 | (Close) | RSI 74.3。過熱感修正のための調整余地あり。57,000円の攻防に注目。 |
| Gold (GC=F) | 5,107.80 | +2.08% | ドル安と実質金利低下を好感し5,000ドル台を固める動き。リスク回避の受け皿。 |
| Crude Oil (CL=F) | 64.89 | +1.45% | 底堅い。米経済のソフトランディング期待が需要を支える。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
本日の日本市場は、円高を嫌気した売りに押されるものの、米経済の堅調さが下支えとなり、一方的な崩れとはならない公算が高いと見ています。
短期シナリオ (Short-term: 24-48h)
- メイン (Main – Probability 60%):
- 条件: ドル円が153円台前半で推移し、RSI過熱感(74超)が意識される場合。
- 展開: 輸出関連株を中心に利益確定売りが先行。日経平均はギャップダウンして始まり、57,000円~57,200円のゾーンへ反落・調整を行う。押し目買い意欲はあるものの、為替の落ち着きを確認するまで上値は重い。
- アップサイド (Bull – Probability 25%):
- 条件: 米国経済の「ゴルディロックス(適温相場)」を好感した海外勢の買いが、円高デメリットを凌駕する場合。
- ターゲット: 57,500円水準を維持・回復。内需株や銀行株への資金シフトが支えとなる。
- ダウンサイド (Bear – Probability 15%):
- 条件: ドル円が152円台へ突入し、円高加速への警戒感が強まる場合。
- リスク: 半導体・自動車株が大きく売られ、節目の56,500円付近まで調整幅を拡大。
着目イベント (48h):
* 2/12 (木) 米GDP速報値、新規失業保険申請件数
* ドル円の153円台維持可否
中期シナリオ (Mid-term: 1-2 Weeks)
- 見通し: Neutral (中立)
- 重要イベント: 米小売売上高(来週)、ECBラガルド総裁発言
- リスク: ドル円の150円割れトライと、それに伴う日銀の政策修正観測の再燃。
- 中期的な視点では、政権安定で日経5.6万回帰:米CPI控え利益確定か続伸かで触れた通り、政権安定というプラス材料は残存しています。56,000円台は強力なサポートとして機能するでしょう。
【投資戦略】 (Outlook)
スタンス: 「短期的な調整警戒・押し目買い (Correction / Buy Dips)」
休場中の円高進行とテクニカル指標の過熱感を踏まえると、本日は無理に上値を追う局面ではありません。市場は「良いニュース(米インフレ鈍化)」と「悪いニュース(円高)」の綱引き状態にあります。
- スイングトレード:
57,500円以上の水準では、短期的な過熱感修正を見込んだ部分的な利益確定(利食い)を推奨します。一方で、56,800円~57,000円ゾーンまで調整が進めば、米経済のファンダメンタルズを根拠とした押し目買いの好機となります。 -
セクターローテーション:
為替感応度の高い輸出株(自動車・精密)はアンダーパフォームする可能性があります。相対的に、円高メリットを享受できる内需株や、金利低下メリットのある不動産・グロース株の一部への資金循環に注目してください。 -
Resistance: 57,650円 (前回終値)
- Support: 57,000円 (心理的節目), 56,500円 (前回のもみ合い水準)


