【2026-02-08の市況概要】 (Market Pulse)
米国のS&P500が+1.97%(6932.3pt)、Nasdaqが+2.18%と爆発的な上昇を見せたにもかかわらず、本日の中国市場はその流れから完全に乖離(デカップリング)した。
上海総合指数は4065.58pt(前日比-0.25%)と小幅続落し、心理的節目の4050ポイントを目前に足踏み状態が続いている。特に香港ハンセン指数は-1.21%(26559.95pt)と下落幅が大きく、海外投資家の資金引き揚げ圧力が依然として強いことを示唆している。市場センチメントは「Fear(42)」を示しており、世界的なリスクオンムードの中で、中国市場だけが独自の構造的課題と明日の重要指標待ちで取り残される構図が鮮明となった。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の上海市場が世界株高に追随できなかった主因は、「明日の中国CPI発表を控えた極度の様子見ムード」と「構造的な成長率低下懸念」の複合要因にある。
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世界株高との乖離(Decoupling)
米国では長期金利(10年債利回り)が4.21%へ低下したことでハイテク株中心に資金が還流したが、このモメンタムは中国市場には波及しなかった。通常、米金利低下は新興国市場への資金流入要因となるが、現在の中国市場ではデフレ懸念(内需の弱さ)が勝り、外部環境の好転を材料視できない状況にある。 -
CPI/PPI発表前のポジション調整
明日(2/9)発表される中国CPI・PPIを前に、積極的な買い手控かいが起きている。市場コンセンサスではデフレ圧力の継続が懸念されており、数字を見るまでは動けないという機関投資家の姿勢が、商いを薄くし、上値を重くしている。 -
構造的懸念の再燃
ニュースフローにおいて「成長率が2.5%へ低下するとの警告」や「人口動態の悪化」が取り沙汰されており、これが中長期的なセンチメントを冷却させている。春節の旅行需要(鉄道チケット完売)などの好材料も散見されるが、マクロ経済の減速懸念を払拭するには至っていない。
昨日のシナリオ検証
昨日提示したメインシナリオ(条件: 米国株高の恩恵を受けにくく、CPI発表待ちで様子見 -> 結果: 的中)は、ほぼ完璧にトレースされた。
昨晩の米国市場がS&P500で約2%上昇という強力なリスクオン環境であったにもかかわらず、上海総合指数は始値から上値が重く、想定レンジであった4050-4080の枠内に完全に収まった。これは、現在の中国市場のドライバーが「外部環境(ベータ)」ではなく「内部要因(アルファ/構造問題)」にあることを裏付けている。
詳細は米株爆騰でも中国独歩安:CPI控え4050攻防と地政学リスクでも触れた通り、地政学リスクと内需の弱さが上値を抑制した形だ。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化 (1d) | コメント |
|---|---|---|---|
| 上海総合指数 | 4065.58 | -0.25% | 4050が岩盤サポート。RSIは42.4と弱含みだが、売られすぎ水準まであと一歩。 |
| ハンセン指数 | 26559.95 | -1.21% | 米ハイテク高に連動せず下落。海外勢の売り圧力が顕著。ボラティリティが高い。 |
| USD/CNY | 6.94 | +0.01% | ほぼ横ばい。人民銀行のFixingによる安定操作が機能しているが、元安圧力は潜在。 |
| Gold | 4979.80 | +2.44% | 世界的なリスクオンの中で逆行高。中国国内の実物資産需要(ヘッジ買い)も寄与か。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
明日のCPI発表を控え、ボラティリティの縮小から一転して拡大する局面に備える必要がある。
短期シナリオ(今後24-48時間)
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メインシナリオ (確率 60%)
- 概要: 明日のCPI発表まで4050-4080の狭いレンジでの推移が継続。発表内容がコンセンサス並みであれば、悪材料出尽くし感から4080近辺への小幅な買い戻しが入る展開。
- トリガー: CPI/PPIが市場予想の範囲内で着地。
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アップサイド (Bull – 確率 20%)
- 概要: 春節前の資金需要一巡や、予想外に強いインフレ指標(デフレ懸念後退)、あるいは突発的な消費刺激策の発表により、ショートカバーを誘発。
- ターゲット: 4100ポイントの回復。ここを明確に抜けると、上海4050で底打ち:5%成長目標と日経急騰が支える自律反発で指摘したような自律反発トレンドへ回帰する。
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ダウンサイド (Bear – 確率 20%)
- 概要: CPIが予想を下回りデフレ深刻化が意識される、または4050のサポートラインを割り込む場合。
- リスク: 4000ポイントの大台割れを意識するパニック売りの発生。特に製造業PMI49.3で景気懸念再燃といったファンダメンタルズの弱さが再認識されると下げ足が速まる。
中期シナリオ(1-2週間)
- 見通し: Bearish (弱気)
- 重要イベント: 2/9 中国CPI・PPI、春節連休前の資金需給逼迫。
- リスク: 不動産市場の停滞長期化とデフレ圧力の定着。米国経済が「No Landing」シナリオに向かう中、米中金利差による資金流出圧力も継続する恐れがある。
【投資戦略】 (Outlook)
結論:様子見 (Wait) を基本としつつ、4050近辺での「打診買い」検討
現在のRSI(42.4)および市場のセンチメントは、売り圧力が強いものの、突っ込み売りをするレベルではないことを示唆している。ボラティリティ(VIX)が世界的に低下傾向にある中、中国市場だけが蚊帳の外に置かれている状況は、逆に言えば「悪材料織り込み済み」の可能性も秘めている。
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エントリー戦略:
- Long: 上海総合指数が4050に接近した局面での逆張りスキャルピング〜デイトレード。ただし、明日のCPI発表を跨ぐポジションは推奨しない。
- Short: 4080-4100ゾーンでの戻り売り。上値の重さは構造的であるため、反発局面は売りの好機となりやすい。
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リスク管理:
- 撤退ライン: 4040ポイント明確な下抜け(終値ベース)。ここを割ると、真空地帯に入るため即座に損切りが必要。
投資家は、単なる価格変動だけでなく、明日のCPIデータが示す「質(需要牽引型かコストプッシュ型か)」を見極めるまでは、慎重なポジション管理が求められる。


