【2026-02-06の市況概要】 (Market Pulse)
2月6日の米国株式市場は、前日の急落から一転して劇的なリスクオン回帰となった。S&P500指数は前日比+1.97%の6932.3ポイント、ナスダック総合指数は+2.18%の23031.21ポイントと、主要指数が揃って約2%の大幅上昇を記録した。
市場のセンチメントを冷やしていた「AIバブル崩壊懸念」と「金利上昇圧力」という2つの重石が同時に緩和されたことが背景にある。特にVIX指数(恐怖指数)は前日の21台から17.76(-18.42%)へと急低下し、投資家のパニック売りが一巡したことを示唆している。セクター別では、ハイテク株主導の全面高となり、暗号資産市場でもビットコインが70,000ドル台を回復(+12.73%)するなど、リスク資産への資金流入が鮮明となった。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の急騰を演出した最大の要因は、エヌビディア(Nvidia)CEOによるAI投資に関する強気発言である。
1. エヌビディア発言によるAI懸念の払拭
市場では、AmazonやStellantisの決算を受け、巨額のAI設備投資(Capex)に対する収益化の遅れが懸念されていた(参考記事:米金利4.2%突破でハイテク調整:PPI上振れと暗号資産急落の波紋)。しかし、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが「6600億ドル規模のCapexビルドアウトは持続可能である」と明言したことで、市場の疑心暗鬼が払拭された。これにより、ショートポジションが積み上がっていた半導体・ハイテク株に猛烈な買い戻し(ショートカバー)が入った。
2. 米金利の安定化と雇用統計の消化
米10年債利回りが4.21%(-0.1%)へと低下したことも追い風となった。同日発表された雇用関連指標が、過熱も冷え込みもしない「ゴルディロックス」的な内容と受け止められ、金利上昇圧力が緩和。これがハイテク株のバリュエーション面での安心感につながった。
昨日のシナリオ検証
昨日のレポートで提示したBullシナリオ(自律反発)が完全に実現した。
* 条件: 「過度な悲観の修正」と「自律反発狙いの買い」
* 結果: Hit。S&P500は想定ターゲットの6850を容易に突破し、6932まで到達した。
* 要因分析: 想定以上の強さとなったのは、エヌビディアCEOの発言という新たなカタリストが出現し、テクニカルな自律反発にファンダメンタルズの安心感が加わったためである。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化 | コメント |
|---|---|---|---|
| S&P 500 | 6932.3 | +1.97% | 50日移動平均乖離率+0.68%と中立圏回復。RSIは49.5で過熱感なし。 |
| Nasdaq | 23031.2 | +2.18% | 1週間の下落幅を一気に取り戻す勢い。RSI 43.1と依然として上値余地あり。 |
| VIX | 17.76 | -18.42% | 20台の「恐怖領域」から脱出。ただし15台の「安心領域」には未達。 |
| Bitcoin | $70,681 | +12.73% | 6万ドル割れの危機からV字回復。リスク選好の先行指標として機能。 |
| US 10Y Yield | 4.21% | -0.10% | 4.3%へのトライを回避し低下。ハイテク株にとっての重石が取れた形。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
来週2月11日(水)に控える米消費者物価指数(CPI)を前に、一本調子の上昇は想定しづらい。ボラティリティの低下とともに、次の材料を見極める展開となる。
短期シナリオ (今後48時間)
- メインシナリオ (確率 50%): レンジ推移と底固め
- 想定: 急騰の反動による利食い売りと、押し目買いが交錯する。S&P500は6900-7000のレンジで推移。
- 根拠: VIXが17台まで低下したものの、来週のCPIイベントリスクがあるため、機関投資家は積極的な上値追いを手控える公算が高い。
- アップサイド (確率 30%): 7000ポイント奪還
- トリガー: VIX指数が15台へ低下し、ショートカバーが継続する場合。
- ターゲット: S&P500 7000、Nasdaq 23500。
- ダウンサイド (確率 20%): 週末のポジション調整
- トリガー: 週末リスク回避の売りや、原油価格の突発的な上昇。
- リスク: S&P500が6800台前半へ押し戻される展開。
中期シナリオ (1-2週間)
- 見通し: Neutral / Bullish
- 重要イベント:
- 2/11: 米CPI(消費者物価指数)
- 2/12: 米小売売上高
- リスク: CPIの上振れによる金利再上昇。インフレ再燃が確認されれば、今回の反発は「デッドキャット・バウンス」に終わる可能性がある。
【投資戦略】 (Outlook)
スタンス: 押し目買い (Buy Dips) / CPI前のポジション調整
市場のパニック状態は脱したと判断できるため、基本戦略はショートカバーから押し目買いへと移行する。しかし、RSIなどのオシレーター系指標が中立に戻った今、ここからの上値は実需の買いが必要となる。
- エントリー: S&P500が6850-6880近辺まで押した場面は、短期的な買い好機。
- 利確/抵抗帯: 心理的節目である7000ポイント手前では、CPI発表前の利益確定売りが出やすい。
- リスク管理: VIXが再び20を超えて上昇する場合、または10年債利回りが4.25%を超えてくる場合は、速やかにポジションを縮小すべきである。
以前のVIX急低下局面(参考:米株全面高・VIX16台へ急低下:日経5.3万回復と日銀会合前の戦略)と同様、ボラティリティの低下はトレンド転換のサインになり得るが、来週の重要イベント通過までは過度な楽観は禁物である。


