【2026-01-20の市況概要】 (Market Pulse)
トランプ新政権の就任式を目前に控え、市場は強いリスクオフの波に飲まれた。米長期金利が4.30%へと急伸したことで、株式市場ではS&P500が-2.06%、Nasdaqが-2.39%と大幅反落。投資家の不安心理を示すVIX指数は前日比+26.67%急騰し、危険水域とされる20.09に到達した。
このマクロ環境の悪化は暗号資産市場にも波及し、Bitcoin(BTC)は心理的節目の90,000ドルを割り込み、89,414ドル(-3.39%)で取引されている。Ethereum(ETH)も3,000ドルの大台を割り込み、-6.40%と大きく値を下げた。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の下落の主因は、「関税政策への懸念」とそれに伴う「米長期金利の上昇(債券売り)」である。
- 関税懸念とインフレ再燃リスク: トランプ次期大統領の保護主義的な通商政策(関税引き上げ)が、インフレを再燃させるとの警戒感が強まった。これにより、債券市場では利回りが上昇(価格は下落)し、高PERのハイテク株を中心に売りが膨らんだ。
- 相関性の復活: 金利上昇局面において、Crypto資産は再びNasdaq等のリスク資産と高い連動性(正の相関)を示した。RSIが30台まで低下しているものの、マクロの逆風がテクニカルな割安感を打ち消している。
- 好材料の相殺: 「財務省が押収したBTCを戦略的準備金に組み入れる」との報道や、MicroStrategy(MSTR)の買い増し姿勢といったポジティブなヘッドラインも観測されたが、市場全体の恐怖感(Fear: 28)を払拭するには至らなかった。
昨日のシナリオ検証
昨日の分析におけるBearシナリオ(条件:保護主義姿勢の強調で米株・債券売りが加速)が実現した。
* 勝因: 市場は新政権の「規制緩和(ポジティブ)」よりも「関税によるインフレ(ネガティブ)」を先に織り込む動きを見せた。VIXが20を超えて急騰したことが、リスク資産全般の投げ売り(Capitulation)に近い動きを誘発し、BTCの90,000ドルサポート決壊に繋がった。
* 参照: 就任式直前の警戒感については、VIX急騰とBTC9.2万ドル:就任式直前の警戒と次なる戦略でも指摘した通りである。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 | 価格 | 変化率 (1d) | コメント |
|---|---|---|---|
| BTC/USD | $89,414 | -3.39% | 9万ドルサポート崩壊。RSIは37.6まで低下し売られすぎ水準だが、下値模索が続く。 |
| ETH/USD | $2,982 | -6.40% | BTCに対しアンダーパフォーム。3,000ドル割れでセンチメントは悪化。 |
| US 10Y | 4.30% | +1.51% | 今回の大幅下落の震源地。金利上昇が止まるまでリスク資産の上値は重い。 |
| VIX | 20.09 | +26.67% | ボラティリティの急拡大。20超えは機関投資家のリスク管理(ポジション縮小)を強制するレベル。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
短期シナリオ (24-48h)
トランプ大統領の就任演説(現地21日)が最大の触媒となる。
- メイン (Probability: 50%):
- 条件: 関税等の政策不透明感から上値は重いが、財務省のBTC準備金活用報道や9万ドル割れでの押し目買いが下支えとなる。
- 展開: 88,000~91,000ドル付近での神経質な底練り(レンジ相場)が続く。演説内容を見極めたい参加者が多く、方向感に欠ける。
- アップサイド (Probability: 30%):
- 条件: 就任演説や大統領令で、具体的な「暗号資産規制緩和」や「クリプト首都構想」への言及がある場合。
- ターゲット: 売り方の買い戻し(ショートカバー)を誘発し、即座に92,000ドル台を奪還。
- ダウンサイド (Probability: 20%):
- 条件: 保護主義・関税強化の姿勢が強調され、米株・債券売りがさらに加速する場合。
- リスク: リスク資産からの逃避が続き、85,000ドルの支持線まで調整幅を拡大。
着目イベント: 米国大統領就任演説(日本時間21日深夜〜22日未明)
中期シナリオ (1-2 Weeks)
- 見通し: Neutral (中立)
- 重要イベント: 日銀金融政策決定会合 (1/23)、米PCEデフレーター (1/22, 23)。
- リスク: 米長期金利の再上昇によるスタグフレーション懸念。金利高・株安の連鎖が止まらない場合、Crypto独自のエコシステム(DeFi/Tokenization)の好材料も相殺される可能性がある。一方で、BTC 12億ドル流入に見られるようなETFフローが継続するかどうかが、底堅さの鍵を握る。
【投資戦略】 (Outlook)
結論:様子見(Wait)および慎重な押し目買い(Cautious Buy Dips)
現在の市場環境は「落ちるナイフ」の様相を呈しており、VIXが沈静化するまでは積極的なエントリーはリスクが高い。しかし、RSIの低さ(37.6)と、財務省の準備金ニュースというファンダメンタルズの下支えを考慮すると、85,000ドル〜88,000ドルゾーンは中長期的な絶好の買い場となる可能性がある。
- スイング戦略: 就任演説通過後のボラティリティ低下を確認するまで静観。92,000ドルを明確に再ブレイクした時点、あるいは85,000ドル近辺での反発を確認してからのエントリーを推奨する。
- リスク管理: 短期的にはボラティリティが高止まりするため、レバレッジは抑制すること。84,000ドル割れを撤退ラインとする。


