【2026-01-08の市況概要】 (Market Pulse)
本日の中国株式市場は、本土市場と香港市場で明確なセンチメントの乖離が見られる展開となった。上海総合指数は前日比微減の 4082.98 (-0.07%) と横ばいで引けたものの、テクニカル面ではRSI(相対力指数)が 98.6 という統計的に異常な過熱水準に達している。一方、海外機関投資家のフローを反映しやすいハンセン指数(HSI)は 26149.31 (-1.17%) と反落し、調整色が強まった。
為替市場では、USD/CNYが 6.98 近辺での極めて狭いレンジ推移(RSI 2.7)を継続しており、人民元相場の安定が市場のクラッシュを防ぐアンカー役を果たしている。しかし、週末に控える米雇用統計(NFP)および米中地政学リスクの高まりを前に、利益確定売り圧力が徐々に顕在化しつつある。
【相場変動の主因】 (Key Drivers)
本日の市場を動かした(あるいは動きを抑制した)主な要因は以下の3点に集約される。
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テクニカル指標の極端な過熱感
上海総合指数のRSIが98.6に達したことは、過去のトレンドと比較しても極めて稀な現象である。通常、RSI70超で「買われすぎ」と判断される中、現在の水準は「上昇モメンタムの暴走」を示唆している。これを受け、週末および翌日の重要イベント(米雇用統計)を前に、短期筋による手仕舞い売りが上値を抑えた。 -
トランプ政権(Navarro氏)による対中強硬姿勢
ニュースヘッドラインにある「トランプ顧問ナバロ氏、レアアースにおける中国の支配を終わらせると予測」という報道が、米中貿易摩擦の再燃懸念を刺激した。特に、海外投資家主体の香港市場では、ハイテク株や素材関連株への売り圧力として作用し、ハンセン指数の下落(-1.17%)を主導した。 -
AI関連(DeepSeek)の底堅さとマクロの綱引き
中国のAIモデル「DeepSeek」の研究チームが健在であるとの報道は、テクノロジーセクターにとってポジティブな材料となり、指数の下支え要因となった。しかし、米10年債利回りが 4.18% (+1.09%) へと上昇したことで、グロース株全般のバリュエーション調整圧力が勝り、積極的な上値追いは手控えられた。
【注目アセット】 (Asset Watch)
| 資産 (Asset) | 価格 (Price) | 変化 (Change) | コメント (Comment) |
|---|---|---|---|
| 上海総合指数 (SHCOMP) | 4082.98 | -0.07% | RSI 98.6は異常値。いつ急激な調整が入ってもおかしくない水準であり、ロングポジションの追随は極めて危険。 |
| ハンセン指数 (HSI) | 26149.31 | -1.17% | 本土株より先行して調整入り。米中対立リスク(レアアース、ベネズエラ問題)を織り込み始めている。 |
| USD/CNY (オフショア人民元) | 6.98 | -0.01% | 当局の管理下で膠着。6.98の防衛ラインが機能している間は、パニック売りは回避される見込み。 |
| WTI原油先物 | 58.40 | +4.30% | ベネズエラ情勢の緊迫化(マドゥロ氏関連報道)を受け急騰。エネルギー関連株には追い風だが、インフレ懸念として全体相場の重石に。 |
【シナリオ分析】 (Scenarios)
短期シナリオ (Short-term: 24-48h)
- メイン (Main) – 確率 60%:
上海総合は高値警戒感から4050-4080のレンジでの調整、あるいは小幅な下落を見込む。RSIのクーリング(過熱感の解消)が必要な局面。香港市場は米雇用統計(1/9)の結果待ちとなり、様子見姿勢が強まる。 - アップサイド (Bull):
DeepSeek関連の好材料がさらに続き、かつ人民元が6.95方向へ突発的に増価した場合。上海総合は4100の節目をトライするが、実需の裏付けが必要。 - ダウンサイド (Bear):
米雇用統計が予想以上に強く、米金利が急騰した場合。または、米中対立に関する具体的な制裁措置が発表された場合。上海総合が4000ポイントの心理的節目を割り込むと、アルゴリズムによる売りが加速するリスクがある(Trigger: HSIの26000割れ)。 - 着目イベント:
1月9日 米雇用統計 (Non-Farm Payrolls) – グローバルなリスクセンチメントを決定づける最重要イベント。
中期シナリオ (Mid-term: 1-2 Weeks)
- 見通し: 中立~調整 (Correction)
- 重要イベント: 米インフレ指標(CPI)、中国の追加財政刺激策の有無。
- リスク: 上海総合の上昇トレンド(1ヶ月で+4.44%)は強力だが、短期的なスピード違反感は否めない。一度3900-4000レベルまでの健全な調整(押し目)を経て、再度上昇基調に戻れるかが焦点。地政学リスク(台湾・ドローン演習報道含む)が「ノイズ」から「実害」に変わるタイミングに警戒。
【投資戦略】 (Outlook)
スタンス:短期的な「戻り売り」または「様子見 (Wait & See)」
現在の上海総合指数のRSIレベル(98.6)での新規買いは、リスクリワード比が悪すぎるため推奨しない。スイングトレーダーは以下の戦略を基本線とする。
- ショート戦略: HSI(ハンセン指数)が26000を割り込む場面では、地政学リスクを材料とした短期ショートがワークしやすい。
- 押し目買い準備: 上海総合指数が過熱感を解消し、4000ポイント近辺まで調整した局面、あるいはRSIが70以下に落ち着いたタイミングでの、AI・ハイテク関連(DeepSeek関連銘柄等)への再エントリーを狙う。
- リスク管理: USD/CNYが7.00を明確に上抜けた場合は、中国株全体の資金流出シグナルと捉え、ロングポジションは即座に縮小すること。
Key Level:
* Resistance: 4100 (上海総合)
* Support: 4000 (上海総合), 26000 (HSI)


